オタクを卒業したい

できない。

箱庭図書館

箱庭図書館
発売元: 集英社
発売日: 2011/03/25


なんか読者から送られてきた小説を乙一が再生するって企画の本が出てたの思い出して読んでみた。


・小説家の作り方
この物語を1つに繋ぐ潮音さんの弟・秀太が小説家になった(なる?)話。
小説のあとがきって作者が唯一自由にしていいところみたいに何かのあとがきで乙一自身が書いてた気がする。
確かにあとがきの面白さも重要だと思う。乙一のあとがきは面白くて好きだ。
多分秀太も小生物語みたいな事実と嘘が混ざり合った、そんな文章を書いていたんだと思う。
乙一は本当に、いじめに遭ってひねくれたり諦めたりした男の子を書くのがうまい。こっちが滅入る。
でもあいつらをいつか見返してやるって、それで小説家として成功している秀太はすごいと思う。

・コンビニ日和!
コンビニと呼ぶにはすこしアレなお店で起きる強盗事件のお話。
強盗犯が、強盗とばれないように接客を始めるなんていう事件があるのを知らなかったので最後まで素直に読んで素直にびっくりしたw
お巡りさんが入ってきて、なんとか強盗犯をコンビニ店員に仕立て上げたのに、うっかり強盗さんって呼んでしまって「後藤さん」に仕立て上げる流れが好き。
しかしこの強盗、動機は潮音さんに借りた3万円を返す為という、潮音さん罪な女ですよ←

・青春絶縁体
こういう軽口を延々続けられる関係っていいよなーっていう。
二人にとっての部室や部室での出来事っていうのは、本当の自分だったり理想の自分だったりする訳で。
互いを貶めあう物語を書いている二人は、なんだかんだ言いつつ楽しそうな様が浮かぶよね。
確か、作中で書かれたお話が元の小説だったって書いてた気がするんだけど、このお話がまた面白くて好き。
結局彼は憧れの鈴木さんじゃなくて先輩のほうを選ぶわけだけど、どうも鈴木さんが好きになれなかった私的には素敵なエンディングだと思う。

・ワンダーランド
優等生の皮をかぶった少年が、拾った鍵が合う扉を探してたら殺人事件に巻き込まれちゃうお話。
黒全開って感じの話だった。
どうも犯人さんはちょっといっちゃってるっつーか、宇宙と交信してるっつーか。
多分最後ぶつかった女性がぴったり合う人だったんだと思う。
犯人は見つけられたけど、少年は見つけられなかったっていう話だよね…?
あとあの鍵は王国の旗の最後で早苗ちゃんが落とした鍵だよね…?

・王国の旗
大人なんか大っ嫌いだをこじらせたらこうなる、みたいな…話か?
どうもよくわからなかったんだよねー!こういうお話普段読まないせいかしら。
早苗ちゃんが忍び込んだ車の持ち主は誰なの?とか、食料や衣類の調達はいくらなんでも無理があるレベルでないか?とか疑問が多くて。
でもちょこちょこ王冠のマークが出てきているあたり、組織として拡大しているんだろうなーと。

・ホワイト・ステップ
このお話が一番好きだった!白乙一ばんざい!
雪景色の綺麗な文善寺町が見えるようだよ!
こっちの世界では死んでいて、向こうの世界では生きているほのかちゃんと、こっちの世界では一人寂しい正月を迎えていて、向こうの世界では潮音さんと結婚している近藤さんが雪を通してコミュニケーションを図るお話。
最初はどちらかが死んだことに気付いていない幽霊かと思ったんだけど、違った(まぁこっちの世界でほのかちゃんは死んでいる訳で幽霊っちゃ幽霊かもしれん)
最後ちゃんとお母さんとほのかちゃんが会う?ことが出来て本当によかった。
こっちの世界の近藤さんと潮音さんはこれからちゃんと始まれるんだろうか。
失敗しないことを祈るばかりです。
あとちよりは早く潮音さんにお金返しなさい。


やっぱり乙一の文章は読みやすくていいなー。
今度別名義の本読んでみたいな。